住環境を整える
家族に介護が必要となったときに、
「この家で介護できるのか?」「何を準備したらいい?」
と不安や心配を抱えることが増えるのではないでしょうか。
子供が小さいときに家族が子供の世話をする場合と違って、
介護をするとなった時には、それまで自立して日常生活を送っていた人を世話することになります。
今までどんな1日を過ごしていたのかや、
個人の性格・こだわりなども予め把握しておくことも必要となってきます。
実際には介護を受ける側、
介護をする側双方にとって介護をするための住環境を整えることが必要となります。
そのためにはどんなことを考慮し進めていくのかというと、
「日常生活動作」と「生活動線」が中心となり、
重要なポイントになってきます。
介護生活で考えるべき家のポイント
介護生活で重要な住環境のポイントは?
「介護=バリアフリー」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
確かに住環境をバリアフリー化することももちろん大事なポイントなのですが、
その基本となるのは介護を受ける側の人が住み慣れた環境を活かすことにあります。
例えば介護サービスを受ける方の実際の生活の様子を見てみると、
いつも使用する家具や壁にある使い慣れたポイントをうまく利用していることが情報収集として挙げられます。
介護度の違いによっても変わってきますが、
本人が使って慣れている方法を活かせるような住環境づくりを進めることをおすすめします。
リスクがあるかをもとに改善する
介護を受ける側の本人が慣れた環境と方法を活かしていくことが大切であると説明してきまた。
しかし、必ず全てをその通りにするのではなく、
介護が始まってからの生活でのリスクを予測した住環境を選択していくことが必要となってきます。
いちばん多いのは転倒のリスク(危険性)です。
今までの慣れた移動方法で動いた結果、転倒してしまった場合、
そこに転倒リスクの原因があることになります。
今後転倒だけではなく、さらに大きな怪我や事故の元にもなる危険性もあり、
住み慣れた住環境のポイントを改善する必要があるということになります。
介護生活に向いている住宅の特徴
介護しやすい住宅のメリットとデメリット
では、介護がしやすい家づくりにするとどんなメリットがあるのでしょうか。
主に次のようなメリットが考えられます。
◎要介護者の残存機能を活かした日常生活を続けることができる
◎家族や介護者の負担を軽減できる
◎被介護者の事故や怪我を予防できる
次に、介護をしやすい家づくりをすることでどんなデメリットがあるのでしょうか。
◎バリアフリー化するための広い敷地を要する
バリアフリーを取り入れるには住宅内の広さを確保することが重要な要素となるため、
住宅そのものを建てるための十分な敷地面積が必要となります。
◎取り入れる設備や施工のためにコストがかかる
設備の種類や手間がかかる施工には追加で費用が発生することもあります。
◎必要性の判断を誤ると後に使わず無駄になる可能性がある
後に必要になるかもしれない設備として準備したものが、
状況が変わることで不要になる場合もあります。
先を見据えた上で介護に適した住宅を検討したい場合には、後から追加で工事可能な設備を選択したり、施工会社などに現状のプランを比較してアドバイスをもらうと良いでしょう。
介護がしやすくなる家の間取りのポイント
次に、実際に家の間取りを考える際にはどのようなポイントを押さえた間取りが良いのでしょうか。
介護を受ける対象となる人は自力での活動が困難である場合が多いです。
高齢者であれば寝室、身体が不自由な方はリビングや寝室、
など1日の大半を過ごす場所があるはずです。
介護がしやすい間取りを考える際には主にどこで1日を過ごすのか、
その場所を中心に動線を考えると良いでしょう。
◎水回りの配置は近くに
リビングや寝室など、一番長く生活する場所から近い位置に水回りを設ける間取りにしましょう。
トイレ・浴室から脱衣場はそのままの流れで移動できるように配置すると介護する側と受ける側双方が動きやすくなります。
別室との移動距離が短いことは温度環境の差による身体への影響も少なく済み、
ヒートショックなどへの予防対策ともなります。
また、自立機能が残っている方にとっても継続して自身で行うことができるためにもよく使う水回りは近くに配置することをおすすめします。
◎動線を考慮する
一度移動したら行き止まりのたびに何度も行ったり来たりや、
同じ動作を繰り返さなくて済むよう扉の数を増やすなど、回遊動線を考慮した間取りにしましょう。
また、和室をリビングの近くに設けることもおすすめです。その和室を介護するメインのスペースとなるような間取りにすると、介護者が他の用事をしているときにも目が届き、必要なときにはすぐに介護できる距離であるため何度も様子を見に行ったり、他の用事の進め具合を調整しやすくなります。よって介護を受ける側の安心感とともに、介護者の負担の軽減にもつながります。
◎プライバシーへの配慮
二世帯住宅を検討する場合には、お互いのプライバシーへな配慮も必要となります。
介護をするのは1階のほうが便利であるため、親世帯とし、
2階を子世帯にすることでお互いに必要以上に気遣いをすることなく程よい距離間で暮らすことができます。
また、そこまで離れるのは心配という場合には、
広いリビングに介護をするスペースを設け、
仕切りなども今はいろいろな種類がありますので活用し、
一緒の空間にいながらもお互いを尊重した生活を送ることができます。
◎先を見据えておく
早急に介護が必要となった場合だけではなく、
将来の状況を想定して介護が必要となったときにスムーズに移行できる間取りを備えておくことも大切なポイントになります。
リビングを広くとり、現時点では使わないスペースを介護をする時のために確保しておいたり、
成長とともに変わる子供部屋を子供が小さいときにも使え、
かつ介護が必要となったときにまた使いやすいよう予めバリアフリー化しておくなど、
下準備をしておくと後に便利になります。
まとめ
誰もがいずれは必要となる介護。
そのときに要介護となった本人ひとりではなく、家族や介護者がともに支え住み慣れた家で暮らすことを叶えるためには家づくりの間取りを工夫することが重要なポイントになります。
そのためには介護をするときにはどんな大変さがあるのか、
負担を軽くするための手段を理解しておきましょう。
介護と聞くと厳しいイメージが大きいでしょう。
しかし、介護に関して正しい知識を持って受け入れ、
対策をすることで安心して家族のコミュニケーションを保ちながら毎日の生活が安全かつ快適に過ごすことは可能です。
これから介護をしやすくするための家づくりを検討されている方は参考にされてください。